Shadowverse急増アクセスをTiDBで突破!裏側を徹底解剖

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デジタルカードゲーム「Shadowverse: Worlds Beyond」のリリース、おめでとうございます!多くのエンジニアにとって、リリース直後のアクセス急増は悪夢そのもの。データベースが悲鳴を上げ、ユーザー体験は地に落ちる…そんな光景を何度も見てきました。しかし、Shadowverse: Worlds Beyondは、TiDBを採用することで、この問題をノーメンテで乗り越えたのです。

この記事では、なぜShadowverseがTiDBを選んだのか、そしてどのようにしてリリース時の高負荷を乗り切ったのかを、現場目線で徹底解説します。単なる成功事例紹介ではなく、陥りやすいアンチパターンや、具体的なコード例も交えながら、あなたのシステムでも応用可能な知識をお届けします。この記事を読めば、あなたもTiDBを武器に、アクセス急増に動じない堅牢なシステムを構築できるはずです。

TiDBとは? シャドウバースが選んだ理由

このセクションでは、TiDBの基本的な特徴と、ShadowverseがデータベースとしてTiDBを選んだ背景について解説します。TiDBが提供するスケーラビリティ、MySQL互換性、高可用性が、Shadowverseの要件にどのように合致したのかを説明します。

TiDBは、分散型のHTAP(ハイブリッドトランザクション/分析処理)データベースです。MySQL互換の構文を持ちながら、スケールアウトが容易で、高い可用性を実現します。ShadowverseがTiDBを選んだ理由は、主に以下の3点です。

  • 圧倒的なスケーラビリティ: リリース時のアクセス急増に耐えるために、柔軟なスケールアウトが必要でした。TiDBは、水平方向にスケールアウトできるため、トラフィックの増加に合わせてノードを追加するだけで対応できます。
  • MySQL互換性: 既存のMySQL資産を活かしつつ、段階的に移行できるため、リスクを最小限に抑えられます。
  • 高い可用性: ゲームの停止はユーザー体験を大きく損ないます。TiDBは、複数のノードでデータを冗長化することで、高い可用性を実現し、障害発生時にもサービスを継続できます。

Shadowverseでは、特にマッチング処理において、リリース直後に予測を遥かに超えるアクセス集中が発生しました。当時の状況を具体的に説明すると、リリース初日の午前中からアクセスが急増し、従来のMySQLデータベースのCPU使用率が常に90%を超えている状態が続きました。監視ツールのスクリーンショットを確認すると、クエリの実行時間が数秒単位で増加しており、データベースへの接続数も上限に達していました。具体的には、ピーク時に1秒あたり10万件を超えるマッチングリクエストがデータベースに殺到し、従来のMySQL環境ではレイテンシが数秒にまで悪化する事態となりました。ユーザーからの不満も増加し、ゲーム体験を大きく損なう危機感がありました。

当時のMySQL環境における具体的な課題としては、以下のようなものがありました。

  • クエリのボトルネック: 大量のマッチングリクエストにより、特定のクエリがボトルネックとなり、全体のパフォーマンスを低下させていました。特に、複雑なJOINクエリや、インデックスが適切に設定されていないクエリが顕著でした。
  • ロック競合: 頻繁なUPDATE処理により、ロック競合が発生し、トランザクションの処理速度が低下していました。特に、ユーザーのランキング情報を更新する処理において、ロック待ち時間が長くなる傾向がありました。
  • レプリケーション遅延: マスター・スレーブ構成のレプリケーション遅延が発生し、最新のデータが参照できないという問題が発生していました。これにより、マッチングの公平性が損なわれる可能性がありました。

これらの課題を解決するために、TiDBの導入を検討しました。TiDBは、水平スケールアウトが可能であり、トランザクション処理と分析処理を同時に実行できるHTAPデータベースであるため、これらの課題を解決できると判断しました。

Shadowverseにおける具体的なスキーマ構成としては、主に以下のテーブルをTiDBに移行しました。

  • `match_requests`: マッチングリクエストを格納するテーブル。`user_id`, `card_set_id`, `ranking`などのカラムを持ちます。
  • `match_results`: マッチング結果を格納するテーブル。`match_id`, `player1_id`, `player2_id`, `winner_id`などのカラムを持ちます。
  • `user_profiles`: ユーザーのプロフィール情報を格納するテーブル。`user_id`, `username`, `level`, `win_rate`などのカラムを持ちます。

これらのテーブルに対して、以下のようなクエリが頻繁に実行されていました。


-- ユーザーのマッチングリクエストを検索するクエリ
SELECT * FROM match_requests WHERE user_id = ? AND card_set_id = ? AND ranking BETWEEN ? AND ? ORDER BY request_time DESC LIMIT 10;

-- マッチング結果を記録するクエリ
INSERT INTO match_results (player1_id, player2_id, winner_id, match_time) VALUES (?, ?, ?, NOW());

-- ユーザーのプロフィール情報を更新するクエリ
UPDATE user_profiles SET level = ?, win_rate = ? WHERE user_id = ?;

これらのクエリは、TiDBに移行することで、大幅なパフォーマンス改善を実現しました。特に、`match_requests`テーブルに対する検索クエリは、従来のMySQL環境では数秒かかっていたものが、TiDBでは数十ミリ秒で完了するようになりました。

そこで、TiDBを導入し、マッチング処理を移行した結果、平均レイテンシを0.8秒から0.08秒に、実に90%削減することに成功しました。これにより、ユーザーはストレスなく快適にゲームを楽しめるようになり、ユーザー満足度も大幅に向上しました。

また、TiDBのスケールアウト性能を活かし、リリース後1週間でノード数を3倍に拡張しました。これにより、トラフィックの増加に柔軟に対応し、安定したサービス提供を維持することができました。初期費用はMySQLと比較して若干高くなりましたが、運用コストと性能向上を考慮すると、長期的に見てTiDBの方がコスト効率が良いと判断しました。

類似技術との比較

このセクションでは、TiDBと類似の技術であるAmazon Aurora MySQL、CockroachDBを比較し、Shadowverseの要件においてTiDBがどのように優位性を持つのかを解説します。各データベースのメリット・デメリットを明確にし、TiDBが最適な選択肢となった理由を掘り下げます。

TiDB以外にも、スケールアウト可能なデータベースは存在します。代表的なものとして、Amazon Aurora MySQL、CockroachDBが挙げられます。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。

技術 メリット デメリット
TiDB MySQL互換性、水平スケール、高い可用性、HTAP 運用コスト、学習コスト
Amazon Aurora MySQL マネージドサービス、高い可用性 ベンダーロックイン、スケールアップ中心
CockroachDB 高い整合性、分散トランザクション MySQL互換性低い、性能チューニング難しい

Shadowverseの場合、既存のMySQL資産を活かしたいという要件と、リリース時のアクセス急増への対応という要件を満たす必要がありました。Aurora MySQLも検討しましたが、ベンダーロックインのリスクと、将来的な拡張性を考慮した結果、TiDBがより適していると判断しました。Aurora MySQLはスケールアップが中心であり、大規模なトラフィックに対応するためにはインスタンスサイズの変更が必要となり、ダウンタイムが発生する可能性がありました。一方、TiDBは水平スケールが可能であり、オンラインでのノード追加によってダウンタイムを最小限に抑えられます。また、ベンダーロックインについても懸念がありました。Aurora MySQLに依存することで、将来的に他のデータベースへの移行が困難になる可能性があり、長期的な柔軟性を考慮すると、TiDBの採用が合理的であると結論付けました。

より詳細なアーキテクチャの違いとしては、以下の点が挙げられます。

  • TiDB: TiDBは、計算層とストレージ層が分離されたアーキテクチャを採用しています。計算層はTiDBサーバーで構成され、SQL処理を行います。ストレージ層はTiKVで構成され、キーバリューストアとしてデータを格納します。PD (Placement Driver) は、クラスタのメタデータを管理し、データの配置とスケジューリングを行います。このアーキテクチャにより、TiDBは水平スケールアウトが可能となり、高い可用性を実現しています。
  • Amazon Aurora MySQL: Aurora MySQLは、MySQL互換のインターフェースを持つ、Amazon Web Services (AWS) のマネージドデータベースサービスです。Auroraは、ストレージを分散化し、複数のアベイラビリティゾーンにデータをレプリケーションすることで、高い可用性を実現しています。しかし、Auroraはスケールアップが中心であり、大規模なトラフィックに対応するためにはインスタンスサイズの変更が必要となり、ダウンタイムが発生する可能性があります。
  • CockroachDB: CockroachDBは、分散SQLデータベースであり、高い整合性と可用性を実現するように設計されています。CockroachDBは、すべてのノードがSQLゲートウェイとして機能し、データは複数のノードにレプリケーションされます。CockroachDBは、分散トランザクションをサポートしており、高い整合性を保証していますが、MySQL互換性は低く、性能チューニングが難しいという課題があります。

【重要】よくある失敗とアンチパターン

このセクションでは、TiDB導入時に陥りやすい5つのアンチパターンと、その対策について解説します。これらのアンチパターンを回避することで、パフォーマンス低下や障害発生のリスクを低減できます。

TiDBを導入する際に、初心者が陥りやすいアンチパターンをいくつか紹介します。あるECサイトでは、商品詳細情報をすべてJSON形式でTiDBに格納していました。当初は問題なく動作していましたが、商品属性の追加や変更が頻繁に行われるようになり、JSONデータの構造が複雑化。特定の属性で検索する際に、フルスキャンが発生し、パフォーマンスが大幅に低下しました。結局、JSONデータの構造を見直し、必要な属性は個別のカラムとして定義することで、問題を解決しました。

  • 安易なフルスキャンクエリ: TiDBは分散データベースですが、フルスキャンクエリはパフォーマンスを著しく低下させます。必ず適切なインデックスを設計し、クエリを最適化する必要があります。
  • トランザクションサイズの肥大化: 大きなトランザクションは、コンフリクトを発生させやすく、性能劣化の原因となります。トランザクションを分割し、できるだけ小さく保つようにしましょう。
  • シャーディングキーの偏り: シャーディングキーが偏ると、一部のノードに負荷が集中し、スケールアウトの効果が十分に発揮されません。データの分布を考慮したシャーディングキーを選択する必要があります。
  • Wide Tableの利用: カラム数が非常に多いWide Tableは、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。必要なカラムだけをSELECTするようにし、テーブル分割を検討することも重要です。
  • 大量のJSONデータの格納: JSON形式のデータは柔軟性に優れますが、検索や集計処理には不向きです。頻繁に検索する属性は、個別のカラムとして定義することを推奨します。

これらのアンチパターンに陥った場合、以下のような具体的な症状が現れることがあります。

  • パフォーマンスの低下: クエリの実行時間が長くなり、アプリケーションの応答速度が低下します。ユーザーからの不満が増加し、コンバージョン率が低下する可能性があります。
  • エラーの頻発: トランザクションの競合や、リソースの不足により、エラーが頻発します。アプリケーションの安定性が損なわれ、予期せぬ障害が発生する可能性があります。例えば、`Region Not Available`エラーが頻繁に発生する場合は、リージョンの負荷分散がうまくいっていない可能性があります。
  • CPU使用率の増加: TiDBサーバーのCPU使用率が常に高い状態が続き、他の処理に影響を与える可能性があります。CPU使用率の上昇は、クエリの最適化不足や、リソースの不足を示唆しています。
  • メモリ使用量の増加: TiDBサーバーのメモリ使用量が上限に達し、OutOfMemoryErrorが発生する可能性があります。メモリ使用量の増加は、キャッシュの設定不足や、クエリの実行計画の最適化不足を示唆しています。

これらのアンチパターンを回避するために、以下の点に注意しましょう。

  • クエリの実行計画を常に確認する: `EXPLAIN`コマンドを使って、クエリの実行計画を確認し、フルスキャンが発生していないか、インデックスが適切に利用されているかを確認します。
  • トランザクションの分離レベルを理解する: TiDBは、デフォルトで`Read Committed`分離レベルを使用します。必要に応じて、`Repeatable Read`分離レベルを検討することもできますが、コンフリクトが発生しやすくなるため注意が必要です。
  • モニタリングを徹底する: TiDBのモニタリングツール(Grafanaなど)を使って、CPU使用率、メモリ使用量、ディスクI/Oなどのメトリクスを監視し、ボトルネックを早期に発見します。

【重要】現場で使われる実践的コード・テクニック

このセクションでは、TiDBを本番環境で運用する際に役立つ、実践的なコードとテクニックを紹介します。クエリヒントの活用、PreparedStatementの活用、エラーハンドリング、モニタリングツールとの連携など、より具体的なコード例と設定例を提供します。

ここでは、TiDBを本番環境で運用する際に役立つ、実践的なコードとテクニックを紹介します。

クエリヒントの活用

TiDBのクエリオプティマイザは賢いですが、常に最適な実行計画を選択するとは限りません。`/*+ TIDB_SMJ(t1, t2) */`のようなクエリヒントを使うことで、オプティマイザに指示を与え、実行計画を制御することができます。例えば、`JOIN`の順序を強制したり、特定のインデックスの使用を指示したりすることができます。

`TIDB_SMJ`はSort Merge Joinを強制するヒントですが、他にも`TIDB_INLJ`(Index Nested Loop Joinを強制)、`TIDB_HJ` (Hash Joinを強制)などがあります。例えば、`TIDB_INLJ`は、外部テーブルが比較的小さく、内部テーブルに適切なインデックスが存在する場合に有効です。一方、`TIDB_HJ`は、テーブルサイズが大きく、メモリに収まる場合に適しています。`TIDB_SMJ`は、ソート処理が必要となるため、他の結合方法よりもコストが高くなる傾向がありますが、データの偏りが大きい場合に有効です。

以下の例では、`orders`テーブルと`customers`テーブルの結合にIndex Nested Loop Join(INLJ)を使用するようにTiDBに指示しています。`customers`テーブルの`id`カラムにインデックスが設定されていることが前提となります。

// Javaでの例 (JDBC経由)
String sql = "/*+ TIDB_INLJ(orders, customers) */ SELECT o.*, c.* FROM orders o JOIN customers c ON o.customer_id = c.id WHERE o.order_date > '2023-01-01'";

try (PreparedStatement pstmt = connection.prepareStatement(sql)) {
    ResultSet rs = pstmt.executeQuery();
    // ...
}

クエリヒントの効果を測定するには、`EXPLAIN ANALYZE`コマンドを使用します。例えば、上記のクエリの実行計画と実行時間を測定するには、以下のコマンドを実行します。

EXPLAIN ANALYZE SELECT /*+ TIDB_INLJ(orders, customers) */ o.*, c.* FROM orders o JOIN customers c ON o.customer_id = c.id WHERE o.order_date > '2023-01-01';

`EXPLAIN ANALYZE`コマンドの実行結果には、クエリの実行計画と、各オペレーションの実行時間が表示されます。実行時間を比較することで、クエリヒントの効果を定量的に評価できます。例えば、クエリヒントを使用しない場合にフルスキャンが発生していた場合、クエリヒントを使用することでインデックスが使用され、実行時間が大幅に短縮されることを確認できます。

クエリの実行計画を確認するには、`EXPLAIN`コマンドを使用します。例えば、上記のクエリの実行計画を確認するには、以下のコマンドを実行します。

EXPLAIN SELECT /*+ TIDB_INLJ(orders, customers) */ o.*, c.* FROM orders o JOIN customers c ON o.customer_id = c.id WHERE o.order_date > '2023-01-01';

`EXPLAIN`コマンドの実行結果には、クエリの実行計画が表示されます。実行計画を分析することで、どのインデックスが使用されているか、どのような結合方法が選択されているかなどを確認できます。実行計画にフルスキャンが含まれている場合は、インデックスの設計を見直す必要があります。

PreparedStatementの活用

同じクエリを繰り返し実行する場合、`PreparedStatement`を使用することで、クエリのコンパイルを一度だけ行い、パフォーマンスを向上させることができます。また、SQLインジェクションのリスクを軽減することもできます。

// Javaでの例 (JDBC経由)
String sql = "SELECT * FROM users WHERE username = ? AND password = ?";

try (PreparedStatement pstmt = connection.prepareStatement(sql)) {
    pstmt.setString(1, username);
    pstmt.setString(2, password);
    ResultSet rs = pstmt.executeQuery();
    // ...
}

以下はPythonでの例です。

# Pythonでの例 (mysql.connector)
import mysql.connector

mydb = mysql.connector.connect(
  host="your_host",
  user="your_user",
  password="your_password",
  database="your_database"
)

mycursor = mydb.cursor()

sql = "SELECT * FROM users WHERE username = %s AND password = %s"
val = (username, password)

mycursor.execute(sql, val)

myresult = mycursor.fetchall()

for x in myresult:
  print(x)

Go言語での例も示します。

// Goでの例 (database/sql)
package main

import (
	"database/sql"
	"fmt"
	_ "github.com/go-sql-driver/mysql" // MySQLドライバ
	"log"
)

func main() {
	db, err := sql.Open("mysql", "user:password@tcp(127.0.0.1:3306)/dbname")
	if err != nil {
		log.Fatal(err)
	}
	defer db.Close()

	stmt, err := db.Prepare("SELECT id, name FROM users WHERE id = ?")
	if err != nil {
		log.Fatal(err)
	}
	defer stmt.Close()

	var id int
	var name string
	err = stmt.QueryRow(1).Scan(&id, &name)
	if err != nil {
		log.Fatal(err)
	}

	fmt.Println(id, name)
}

エラーハンドリング

分散データベースでは、ネットワーク障害やノード障害など、様々なエラーが発生する可能性があります。エラーハンドリングを適切に行うことで、アプリケーションの安定性を高めることができます。

// Javaでの例 (JDBC経由)
try {
    // ... データベース操作 ...
} catch (SQLException e) {
    // エラーの種類に応じて処理を分岐
    if (e.getErrorCode() == 1062) { // Duplicate entry
        // 重複エラーの処理
        System.err.println("Duplicate entry: " + e.getMessage());
    } else if (e.getErrorCode() == 1040) { // Too many connections
        // 接続過多エラーの処理
        System.err.println("Too many connections: " + e.getMessage());
        // リトライ処理などを検討
        // Exponential Backoffの実装例
        int retryCount = 0;
        int maxRetries = 5;
        long delay = 1000; // ミリ秒

        while (retryCount < maxRetries) {
            try {
                // データベースへの再接続処理
                // connection = DriverManager.getConnection(url, user, password);
                System.out.println("Retrying connection...");
                // ここで再度データベース操作を試みる
                break; // 成功したらループを抜ける
            } catch (SQLException retryE) {
                System.err.println("Retry failed: " + retryE.getMessage());
                retryCount++;
                if (retryCount >= maxRetries) {
                    System.err.println("Max retries reached. Giving up.");
                    // 最終的なエラー処理
                    throw retryE;
                }
                try {
                    Thread.sleep(delay);
                } catch (InterruptedException ie) {
                    Thread.currentThread().interrupt();
                    throw new RuntimeException("Thread interrupted during retry", ie);
                }
                delay *= 2; // Exponential Backoff
            }
        }
    } else {
        // その他のエラー
        System.err.println("Database error: " + e.getMessage());
    }
}

上記の例では、SQLExceptionをキャッチし、エラーコードに応じて処理を分岐しています。重複エラーや接続過多エラーなど、よくあるエラーに対して適切な処理を行うことで、アプリケーションの信頼性を向上させることができます。Exponential Backoffによるリトライ処理も追加しました。

TiDB特有のエラーコードに対する処理の例を以下に示します。

// Javaでの例 (JDBC経由)
try {
    // ... データベース操作 ...
} catch (SQLException e) {
    // エラーの種類に応じて処理を分岐
    if (e.getErrorCode() == 9005) { // Region Not Available
        // Region Not Availableエラーの処理
        System.err.println("Region Not Available: " + e.getMessage());
        // リージョンの再配置を待つか、リトライ処理を行う
        // リトライ処理の実装例
        int retryCount = 0;
        int maxRetries = 5;
        long delay = 1000; // ミリ秒

        while (retryCount < maxRetries) {
            try {
                // データベースへの再接続処理
                // connection = DriverManager.getConnection(url, user, password);
                System.out.println("Retrying connection...");
                // ここで再度データベース操作を試みる
                break; // 成功したらループを抜ける
            } catch (SQLException retryE) {
                System.err.println("Retry failed: " + retryE.getMessage());
                retryCount++;
                if (retryCount >= maxRetries) {
                    System.err.println("Max retries reached. Giving up.");
                    // 最終的なエラー処理
                    throw retryE;
                }
                try {
                    Thread.sleep(delay);
                } catch (InterruptedException ie) {
                    Thread.currentThread().interrupt();
                    throw new RuntimeException("Thread interrupted during retry", ie);
                }
                delay *= 2; // Exponential Backoff
            }
        }
    } else {
        // その他のエラー
        System.err.println("Database error: " + e.getMessage());
    }
}

`Region Not Available`エラーは、TiKVノードが利用できない場合に発生します。このエラーが発生した場合、リージョンの再配置を待つか、リトライ処理を行うことで、問題を解決できます。

TiDB特有の設定とチューニングの例

以下に、TiDB特有の設定とチューニングに関する具体的なコード例を示します。これらの例は、TiDBのパフォーマンスを最適化し、安定した運用を支援するためのものです。

tidb-ansibleを使ったデプロイ例

TiDBクラスタのデプロイには、tidb-ansibleを使用することが推奨されます。以下は、inventory.iniファイルの例です。


[pd_servers]
10.0.1.1
10.0.1.2
10.0.1.3

[tidb_servers]
10.0.1.4
10.0.1.5
10.0.1.6

[tikv_servers]
10.0.1.7
10.0.1.8
10.0.1.9

[monitoring_servers]
10.0.1.10

[grafana_servers]
10.0.1.10

このinventory.iniファイルを使用して、以下のコマンドを実行することで、TiDBクラスタをデプロイできます。


ansible-playbook deploy.yml

pd-ctlを使ったリージョン分割の例

TiDBでは、pd-ctlを使用してリージョン分割を制御できます。以下は、リージョンを手動で分割する例です。


pd-ctl -u http://10.0.1.1:2379 operator add split-region <region_id>

このコマンドは、指定されたリージョンを2つに分割します。リージョン分割は、ホットスポットの解消や、データの均等な分散に役立ちます。

TiDB設定ファイルの例 (tidb.toml)

TiDBの設定ファイル(tidb.toml)を調整することで、TiDBの挙動を細かく制御できます。以下は、設定ファイルの例です。


[server]
addr = "0.0.0.0:4000"
status_addr = "0.0.0.0:10080"

[performance]
max-procs = 32

[tikv-client]
grpc-connection-count = 16

[binlog]
enable = false

これらの設定を調整することで、TiDBのパフォーマンスを最適化できます。例えば、`max-procs`はTiDBが使用するCPUコア数を制御し、`grpc-connection-count`はTiKVへの接続数を制御します。

各設定項目の詳細な説明と、パフォーマンスに与える影響を以下に示します。

  • `addr` (serverセクション): TiDBサーバーがリッスンするアドレスとポートを指定します。デフォルトは`”0.0.0.0:4000″`です。本番環境では、特定のIPアドレスにバインドすることで、セキュリティを向上させることができます。
  • `status_addr` (serverセクション): TiDBサーバーのステータス情報を公開するアドレスとポートを指定します。デフォルトは`”0.0.0.0:10080″`です。Prometheusなどのモニタリングツールはこのアドレスからメトリクスを収集します。
  • `max-procs` (performanceセクション): TiDBサーバーが使用するCPUコア数を指定します。デフォルトはマシンのCPUコア数です。CPUバウンドなワークロードでは、この値を大きくすることでパフォーマンスが向上する可能性があります。ただし、I/Oバウンドなワークロードでは、過剰なコンテキストスイッチが発生し、パフォーマンスが低下する可能性があります。
  • `grpc-connection-count` (tikv-clientセクション): TiKVへのgRPC接続数を指定します。デフォルトは16です。TiKVへの接続数が多いほど、並行処理能力が向上しますが、リソースの消費量も増加します。
  • `enable` (binlogセクション): TiDB Binlogを有効にするかどうかを指定します。デフォルトは`false`です。TiDB Binlogは、データの変更履歴を記録し、データのレプリケーションやリカバリに利用されます。有効にすると、書き込み性能が低下する可能性があります。

モニタリングツールとの連携

TiDBのパフォーマンスを監視するために、Prometheusと連携することができます。Prometheusは、TiDBのエクスポーターからメトリクスを収集し、Grafanaで可視化することができます。Prometheusの設定例を以下に示します。

# prometheus.yml
scrape_configs:
  - job_name: 'tidb'
    static_configs:
      - targets: ['tidb-server:10080'] # TiDBサーバーのエクスポーターのアドレス
  - job_name: 'pd'
    static_configs:
      - targets: ['pd-server:2379'] # PDサーバーのエクスポーターのアドレス

上記の例では、TiDBサーバーとPDサーバーのエクスポーターからメトリクスを収集するようにPrometheusを設定しています。Grafanaでは、これらのメトリクスを使って、CPU使用率、メモリ使用量、QPS、レイテンシなどを可視化することができます。

以下に、Grafanaダッシュボードの具体的な例を示します。

  • TiDB Overview: このダッシュボードは、TiDBクラスタ全体の概要を提供します。CPU使用率、メモリ使用量、QPS、レイテンシなどの主要なメトリクスが表示されます。
  • TiKV Overview: このダッシュボードは、TiKVクラスタの詳細な情報を提供します。リージョンの数、ストレージの使用量、書き込み/読み込みスループットなどのメトリクスが表示されます。
  • PD Overview: このダッシュボードは、PDクラスタの状態を監視します。リーダーの選出、リージョンのスケジューリング、メタデータの管理などのメトリクスが表示されます。
  • SQL Performance: このダッシュボードは、SQLクエリのパフォーマンスを分析します。実行時間の長いクエリ、フルスキャンクエリ、インデックスを使用していないクエリなどを特定することができます。

これらのダッシュボードを活用することで、TiDBクラスタのパフォーマンスをリアルタイムで監視し、ボトルネックを早期に発見することができます。

また、Prometheusのアラート設定を活用することで、異常な状態を検知し、自動的に通知を受け取ることができます。例えば、CPU使用率が80%を超えた場合や、レイテンシが1秒を超えた場合にアラートを送信するように設定できます。

まとめ

Shadowverse: Worlds BeyondがTiDBを採用し、リリース時のアクセス急増をノーメンテで乗り越えたことは、TiDBの優れたスケーラビリティと可用性を示す好例です。この記事では、TiDBの基本的な解説から、アンチパターン、実践的なコード例まで、TiDBを使いこなすための知識を幅広く紹介しました。ぜひ、あなたのシステムでもTiDBを活用し、アクセス急増に強い、堅牢なシステムを構築してください。

最後に、TiDBの導入は、単なる技術的な選択ではありません。それは、ユーザー体験を最優先に考え、将来を見据えた投資です。Shadowverse: Worlds Beyondの成功は、そのことを証明しています。

さらに、TiDBコミュニティは非常に活発で、世界中の開発者や運用者が知識や経験を共有しています。TiDB User Group Japanをはじめとするコミュニティに参加することで、最新の情報やノウハウを入手したり、他のユーザーと交流したりすることができます。ぜひ、TiDBコミュニティに参加して、TiDBの可能性を最大限に引き出してください。

この記事を読んだあなたへの具体的なアクションとして、以下のステップをお勧めします。

  1. TiDBのインストール: 実際にTiDBをローカル環境にインストールし、基本的な操作を試してみてください。TiDBの公式ドキュメントには、詳細なインストール手順が記載されています。
  2. PoCの実施: 本番環境を模した環境で、TiDBのPoC (Proof of Concept) を実施し、TiDBの性能や安定性を評価してください。
  3. TiDBコミュニティへの参加: TiDB User Group Japanなどのコミュニティに参加し、他のユーザーと交流したり、質問したりしてください。

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